成分で選ぶ 北林 歩 ・ 2026.08.03 ・ 約6分で読めます

マグネシウムサプリの比較
形状で吸収は変わるのか

結論

クエン酸マグネシウムは酸化マグネシウムより吸収されやすいとする研究がありますが、実売品は酸化型が目立ちます。Kappelerら(2017年)の試験では、投与後2〜6時間の血中マグネシウム濃度がクエン酸マグネシウムで有意に高く、実際に確認できたDHC「マルチミネラル」の原材料名は酸化マグネシウムでした。選ぶ基準は化合物量でなく「マグネシウムとして◯mg」です。

出典:Kappeler et al. (2017) BMC Nutrition/Walker et al. (2003) Magnesium Research/DHC公式サイト(2026年8月3日確認)。

要点

  • クエン酸マグネシウムは酸化マグネシウムより血中濃度・尿中排泄量が高いとする研究がある(Kappeler 2017・Walker 2003)。
  • 酸化マグネシウムは水にほぼ溶けず、クエン酸マグネシウムは水だけで55%溶けるとする研究がある(Lindberg 1990)。
  • 確認できた実売品(DHC「マルチミネラル」)はマグネシウム125mg・酸化マグネシウムを使用。
  • 選ぶ基準は化合物量でなく「マグネシウムとして◯mg」。原材料名欄で化合物名を確認する。
  • サプリ由来の耐容上限量は1日350mg(厚生労働省2025年版)。形状に関わらず合計で管理する。
20クエン酸vs酸化マグネシウムの血中濃度を比較した試験の被験者数(Kappeler 2017)
55%クエン酸マグネシウムの水への溶解度・酸化マグネシウムはほぼ溶けない(Lindberg 1990)
125mg確認できた実売品(DHC)のマグネシウム量・1日目安(酸化マグネシウム使用)

出典:Kappeler et al. (2017) BMC Nutrition/Lindberg et al. (1990) J Am Coll Nutr/DHC公式サイト(2026年8月3日確認)。

マグネシウムは形状(酸化・クエン酸・グリシン酸)で吸収率が変わる?

変わります。クエン酸マグネシウムを摂取した群は酸化マグネシウムの群より、投与後2〜6時間の血中マグネシウム濃度が有意に高かったとする研究があります(Kappelerら2017年、健康な男性20人によるクロスオーバー試験、BMC Nutrition)。

Walkerらの2003年の研究(Magnesium Research誌、健康な成人46人による二重盲検試験)でも、クエン酸マグネシウムは酸化マグネシウムやアミノ酸キレート型(グリシン酸マグネシウムなど)より尿中・唾液中のマグネシウム反応が高かったと報告されています。同じように吸収率の違いが議論される成分に鉄があります(ヘム鉄と非ヘム鉄、キレート鉄は何が違う?)。

出典:Kappeler et al. (2017) BMC Nutrition 3:7/Walker et al. (2003) Magnesium Research 16(3):183-91。いずれも健康な成人を対象にした小規模・短期の試験です。

酸化マグネシウムとクエン酸マグネシウム、研究データでの違いは?

酸化マグネシウムは水にほぼ溶けず、胃酸を想定した条件でも溶解度は43%にとどまるのに対し、クエン酸マグネシウムは水だけで55%が溶けるとする研究があります(Lindbergら1990年、J Am Coll Nutr)。尿中マグネシウム排泄量も、クエン酸摂取後のほうが多かったと報告されています。

研究発表年・誌名被験者数結果概要
Lindberg ら1990年・J Am Coll Nutr抄録に記載なし(健常者)水への溶解度はクエン酸55% vs 酸化はほぼ0%。尿中Mg排泄量もクエン酸摂取後で多い
Walker ら2003年・Magnesium Research46人クエン酸が酸化・アミノ酸キレートより尿中・唾液中Mg反応が高い(単回投与での腎排泄量の差は非有意)
Kappeler ら2017年・BMC Nutrition20人(健康な男性)投与後2〜6時間の血中Mg濃度がクエン酸で有意に高い(p<0.05)

出典:Lindberg et al. (1990) J Am Coll Nutr 9(1):48-55/Walker et al. (2003) Magnesium Research 16(3):183-91/Kappeler et al. (2017) BMC Nutrition 3:7。いずれも健康な成人を対象にした小規模・短期の試験で、症状や疾患への効果を比較したものではありません。

実際の製品はどの形状を使っている?

実際に確認できたのは1製品のみです。DHC「マルチミネラル30日分」の原材料名には酸化マグネシウムと表示されており、マグネシウムは1日3粒で125mg(栄養素等表示基準値の39%)です(同社公式サイトで確認)。

原材料名は「酸化マグネシウム」で、クエン酸マグネシウムやグリシン酸マグネシウムのような記載ではありませんでした。価格は540円(税込・30日分)で、1日あたり約18円です。今回確認したのはこの1製品のみで、他ブランドの原材料までは確認していません。出典:DHC「マルチミネラル 30日分」公式ページ(2026年8月3日確認)。

DHC「マルチミネラル」のマグネシウム量と耐容上限量(mg)
  • DHC「マルチミネラル」(1日3粒)125mg
  • サプリ等由来の耐容上限量350mg

出典:DHC公式サイト(2026年8月3日確認)/厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)。

ラベルで形状を確認する手順は?

栄養成分表示で「マグネシウムとして◯mg」の量を確認し、原材料名欄で化合物名(酸化・クエン酸・グリシン酸など)を見ます。他の製品と合算した1日の総量が、サプリ等由来の耐容上限量350mgを超えないかも確認します。

  1. 「マグネシウムとして◯mg」の量を見る

    栄養成分表示は化合物の重さでなく、マグネシウムそのものの量で書かれています。ここを比較の基準にします。

  2. 原材料名欄で化合物名を確認する

    「酸化マグネシウム」「クエン酸マグネシウム」「グリシン酸マグネシウム」など、原材料名の欄に化合物名が書かれています。

  3. 他の製品との合計を耐容上限量と照らす

    他のミネラルサプリやマルチビタミンと合わせて、サプリ等由来の合計が1日350mgを超えないか確認します。

ミネラル同士の飲み合わせ(サプリの飲み合わせで注意したい組み合わせは?)も、まとめて確認しておくと安心です。

マグネシウムの1日の目安量・上限量は?

マグネシウムの推奨量は成人男性で約330〜380mg、女性で約270〜290mgです(厚生労働省2025年版・食事を含む)。サプリなど食品以外から摂る分の耐容上限量は、成人1日350mgと別に定められています。

詳しい年齢区分別の値や、摂りすぎたときに起こりやすい症状はマグネシウムの選び方と1日の目安量で解説しています。本記事では形状による吸収の違いに絞って扱います。

SuppNestでできること

成分詳細画面。1成分(マグネシウムなど)の全製品からの合計量と、目安の範囲内かどうかが表示されている
成分1つを選ぶと、全製品からの合計量と目安の範囲を表示する画面

この「マグネシウムとして」の合計を全製品でまとめて見る作業を、SuppNestは登録するだけで自動化します。成分の重複を確認する方法と合わせて使うと、形状が違う複数の製品を併用しているときも、耐容上限量との距離が把握しやすくなります。形状(化合物の種類)までは判定しませんが、数字を偽らず、確認できないものは「データ不足」と正直に表示します。

本アプリ・本記事は情報提供であり、診断・治療・予防を目的とするものではありません。持病のある方・服薬中の方は医師または薬剤師にご相談ください。

よくある質問

マグネシウムサプリは形状で吸収率が変わりますか?

はい。研究では、クエン酸マグネシウムは酸化マグネシウムより血中濃度や尿中排泄量が高いという結果が報告されています(Kappelerら2017年、Walkerら2003年など)。ただしいずれも健康な成人を対象にした小規模な試験です。

酸化マグネシウムとクエン酸マグネシウム、どちらを選べばいいですか?

研究データではクエン酸マグネシウムのほうが吸収されやすい傾向が示されていますが、酸化マグネシウムは1粒あたりのマグネシウム量を多くしやすく、価格も抑えやすい形状です。おなかの調子や目的に合わせて選び、量は「マグネシウムとして◯mg」で比較してください。

実際の製品はどの形状を使っていますか?

今回確認できたのはDHC「マルチミネラル30日分」の1製品のみで、原材料名には酸化マグネシウムと表示されていました(マグネシウム125mg・1日3粒)。他のブランドの原材料までは確認していません。

マグネシウムの耐容上限量はどれくらいですか?

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、サプリなど通常の食品以外から摂る分の耐容上限量は成人1日350mgです。これは形状に関わらず、マグネシウムとしての合計量に適用されます。

グリシン酸マグネシウムはどうですか?

グリシン酸マグネシウムはアミノ酸(グリシン)と結合した形状で、比較的吸収されやすくおなかに優しいとされることがありますが、公開情報で確認できた実売品はなく、本記事では確認できた酸化マグネシウム・クエン酸マグネシウムの研究データを中心に扱っています。

出典

  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」マグネシウム(推奨量・耐容上限量)。
  • Kappeler D, Heimbeck I, Herpich C, et al. "Higher bioavailability of magnesium citrate as compared to magnesium oxide shown by evaluation of urinary excretion and serum levels after single-dose administration in a randomized cross-over study." BMC Nutrition. 2017;3:7.
  • Walker AF, Marakis G, Christie S, Byng M. "Mg citrate found more bioavailable than other Mg preparations in a randomised, double-blind study." Magnesium Research. 2003;16(3):183-91.
  • Lindberg JS, Zobitz MM, Poindexter JR, Pak CY. "Magnesium bioavailability from magnesium citrate and magnesium oxide." Journal of the American College of Nutrition. 1990;9(1):48-55.
  • DHC「マルチミネラル 30日分」商品ページ(栄養成分表示・原材料名、2026年8月3日確認)。

マグネシウムの合計を、スキャンだけで

「マグネシウムとして」の合計と、上限との距離が一目に。

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