機能性表示食品は、国が審査しているの?
審査していません。消費者庁は制度の説明で「特定保健用食品(トクホ)と異なり、国が審査を行いませんので、事業者は自らの責任において、科学的根拠を基に適正な表示を行う必要があります」と書いています。事業者が安全性と機能性の根拠を自分でそろえ、販売前に消費者庁へ届け出る仕組みです。届け出られた内容は公開されます。
「届出制」という言葉は、受け取り方が分かれます。国に書類を出しているのだから国が中身を確かめた、と読む人がいます。制度上はそうではありません。確かめる役目は、届け出た事業者の側にあります。
出典:消費者庁「機能性表示食品について」(2026年8月8日確認)。引用は同ページの本文です。
トクホとは、どこが違うの?
国の関わり方が違います。トクホ(特定保健用食品)は国が製品ごとに有効性と安全性を審査して許可する制度で、許可されているのは1,023品目です。機能性表示食品は届け出る制度で、届出は11,207件あります。数が10倍以上ちがうのは、審査を通す必要があるかどうかの差です。
| 制度 | 国の関わり | 数 | 番号 |
| 特定保健用食品(トクホ) | 製品ごとに審査して許可 | 1,023品目 | 許可番号 |
| 機能性表示食品 | 事業者が届出。国は審査しない | 11,207件 | 届出番号 |
| 栄養機能食品 | 規格基準を満たせば表示できる | 届出も許可も不要 | 番号なし |
出典:消費者庁「特定保健用食品許可(承認)品目一覧」(令和8年8月6日更新)を数えた1,023品目/消費者庁「機能性表示食品 届出情報検索データベース」(2026年7月22日時点・11,207件)。数え方は商品名と申請者がそろっている行を1品目としています。
棒の長さは件数に比例しています。届出は許可品目の約11倍あります。国が審査を通した数と、届け出られた数の差です。
出典:消費者庁「機能性表示食品 届出情報検索データベース」(2026年7月22日時点)/「特定保健用食品許可(承認)品目一覧」(令和8年8月6日更新)。トクホ1,023品目のうち203品目は、令和6年度に販売実績があり、消費者庁が関与成分量を許可等申請書どおり含有していることを確認したと注記されている品目です。
どちらが安全か、という話ではありません。トクホは数が絞られる代わりに国が中身を見ています。機能性表示食品は数が多い代わりに、中身を読む仕事が買う側に回ってきます。
パッケージのどこを見れば分かる?
機能性表示食品には、次の文が義務として書かれています。「本品は、事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」栄養成分表示の近くにある、いちばん小さな文字のかたまりです。
表の面には「記憶力を維持する」といった機能が大きく書かれ、裏の面に「個別審査を受けたものではありません」と小さく書かれています。どちらも同じ製品の、同じ制度の表示です。後者を読んだことがある人は多くありません。
出典:消費者庁「『機能性表示食品』って何?」(2026年8月8日確認)。引用は同資料に示された表示例の全文です。
同じ成分なら、同じ機能が書かれている?
揃っていません。GABAを含む届出のうち、関与成分がGABAだけで1日の量が100mgのものは112件あり、届け出られた機能は睡眠・血圧・記憶力・肌・筋力に分かれています。国が審査して表現を揃える仕組みがないため、事業者がそれぞれ自分の根拠で届け出た結果がそのまま並びます。同じ成分・同じ量でも、書かれていることが違います。
| 届出番号 | 届出者 | 1日量 | 届け出られた機能(要約) |
| L19 | 株式会社マツモト交商 | 100mg | 睡眠の質(深い眠りや目覚めのよさ)の向上 |
| K669 | 三和酒類株式会社 | 100mg | 血圧が高めの方の血圧を低下させる |
| K113 | 株式会社ファーマフーズ | 100mg | 加齢によって低下する記憶力の維持 |
| K824 | 株式会社日本予防医学研究所 | 100mg | 肌の乾燥が気になる方の肌の弾力の維持 |
| K905 | 三和酒類株式会社 | 100mg | 軽い運動との併用で、膝を支える筋力の維持 |
出典:消費者庁「機能性表示食品 届出情報検索データベース」(2026年7月22日時点)。関与成分の表記がGABAのみで、剤形が錠剤・カプセル、撤回されておらず、1日摂取目安量に含む量が100mgと書かれた届出112件から、それぞれ1つの話題だけを届け出ている例を選びました。機能の欄は原文を短くまとめたもので、実際の届出表示は「〜機能があることが報告されています」という形で書かれています。
GABAを含む届出は総数1,583件、撤回されていないものが898件あります。そのうち量が1つの数字で書かれた錠剤・カプセルを数えると、1日12.3mgから700mgまで、57倍の幅がありました。真ん中は100mgです。
出典:同上。量は「1日摂取目安量に含む機能性関与成分の含有量」の欄から読み取りました。「可食部20gあたり」のように基準が違う書き方の届出は数から外しています。
成分が表示どおり入っているかは、誰が確かめている?
機能性表示食品では、届出の段階で国が成分量を測る仕組みはありません。トクホには一部あります。消費者庁の許可品目一覧には「令和6年度に販売実績があった品目であり、消費者庁において関与成分量が許可等申請書どおり適切に含有されていることを確認している」と注記された品目があり、その数は203品目です。
| 確かめていること | トクホ | 機能性表示食品 |
| 販売前に中身を審査 | する(許可制) | しない(届出制) |
| 成分量が申請どおりかの確認 | 販売実績のある203品目で確認済み | 制度としての確認はない |
| 届け出た内容の公開 | 許可品目一覧で公開 | 届出データベースで公開 |
出典:消費者庁「特定保健用食品許可(承認)品目一覧」(令和8年8月6日更新)。1,023品目のうち「令和6年度の販売実績」の欄に印がある203品目(19.8%)が、注記の対象です。
作り方の側には決まりが加わった
ただし機能性表示食品にも、作り方の側の決まりが加わりました。天然抽出物などを原材料とする錠剤・カプセル剤等の食品について、GMP(適正製造規範)に基づく製造管理が2026年9月1日から実施されます。成分量を国が測る仕組みではありませんが、作る過程の管理が届出者の守るべき事項になります。
機能性表示食品にGMPは義務?
2026年9月1日から義務になります。天然抽出物などを原材料とする錠剤・カプセル剤等の食品について、GMP(適正製造規範)に基づく製造管理が届出者の守るべき事項として実施されます。それまでは推奨にとどまっていました。錠剤・カプセル以外の形(飲料など)は対象ではありません。
出典:消費者庁「機能性表示食品の今後について」(2024年9月)の「見直し内容と施行期日等」。医師の診断による健康被害情報の提供は令和6年9月1日施行、届出情報の表示方法と届出手続の見直しは令和7年4月1日施行、GMP基準の適用は令和8年(2026年)9月1日実施とされています。
機能性表示食品の届出は、どれくらい撤回されている?
あります。届出11,207件のうち4,968件(44.3%)が撤回済みです。届出は受理されても、そのまま続くとは限りません。販売状況の欄を見ると、販売休止中が6,895件(61.5%)、販売中が3,367件(30.0%)です。届け出られていることと、いま売られていることは別です。
ただし撤回の理由は、届出データベースに書かれていません。終売やリニューアルにともなう撤回も同じ「撤回」として記録されます。撤回されたこと自体は、その製品に問題があった証拠にはなりません。数字は「届出は動くもの」という意味で読んでください。
出典:消費者庁「機能性表示食品 届出情報検索データベース」(2026年7月22日時点・11,207件)。撤回・販売状況は届出者が報告した内容です。
では、届出のマークは見なくていい?
見る価値はあります。国が審査していないことは、根拠が公開されていないことではありません。届出番号を引けば、誰が届け出て、どの成分をどれだけ入れ、何を根拠に何と書いたのかまで読めます。番号も根拠も公開されていない健康食品と比べれば、確かめられる情報は多いほうです。
読み方はひとつだけです。「マークがあるから安心」ではなく「マークがあるから中身を読める」と受け取ることです。製品を選ぶときは、届け出られた機能が自分の目的と合っているか、量がいくらか、撤回されていないかを見ます。
自分が飲んでいるものは、どう確かめる?
パッケージの届出番号を消費者庁のデータベースで引くと、届け出られた機能・関与成分の量・届出者が出ます。撤回されていないか、販売中か休止中かまで見ると、その届出がいま生きているかが分かります。番号はアルファベット1文字と数字の組み合わせで、例えばK113のような形です。
- パッケージで届出番号を探す。
「機能性表示食品」の表示や栄養成分表示の近くにあります。トクホなら許可番号です。
- 消費者庁のデータベースで番号を引く。
届け出られた機能と関与成分の量が、そのまま読めます。
- 撤回と販売状況を見る。
ここまで見て、はじめて「いま有効な届出か」が分かります。
番号を手で入れずに読む
製品から調べるページでは、収録している届出について、撤回の有無・販売状況・同じ成分の届出のなかでの量の位置をまとめています。番号を手で入れなくても読めます。
問題がなければ、それで終わり
調べた結果、届出が生きていて量も想定どおりだった、という場合がほとんどです。それで終わりで、何も問題ありません。ただ届出は動きます。飲んでいるものを登録しておけば、撤回や販売休止が出たときに気づける形になります。大手の製品でも回収は起きています。今日は大丈夫でした、これからも見ておきます、という付き合い方がいちばん現実的です。
機能性表示食品は国が審査しているのですか?
審査していません。消費者庁は制度の説明のなかで「特定保健用食品(トクホ)と異なり、国が審査を行いませんので、事業者は自らの責任において、科学的根拠を基に適正な表示を行う必要があります」と書いています。事業者が科学的根拠などの資料をそろえて消費者庁に届け出る仕組みで、届け出られた内容は消費者庁のサイトで公開されます。
トクホと機能性表示食品はどこが違うのですか?
国の関わり方が違います。トクホは国が製品ごとに有効性と安全性を審査して許可する制度で、許可品目は1,023品目です。機能性表示食品は事業者が届け出る制度で、届出は11,207件あります。数が10倍以上違うのは、審査を通す必要があるかどうかの差です。
パッケージのどこを見れば、審査されていないと分かりますか?
機能性表示食品には「本品は、事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません」という文が義務として書かれています。栄養成分表示の近くにある小さな文字です。
同じ成分なら、どの製品でも同じ機能が書かれているのですか?
違います。GABAを含む届出のうち、関与成分がGABAだけで1日100mgのものは112件あり、届け出られた機能は睡眠・血圧・記憶力・肌・筋力と分かれています。事業者がそれぞれ自分の根拠で届け出るため、同じ成分・同じ量でも書かれている機能が揃いません。
届出のマークがあれば、成分が表示どおり入っていますか?
届出の段階で国が成分量を測る仕組みはありません。トクホでは、令和6年度に販売実績があった203品目について、消費者庁が関与成分量を許可申請書どおり含有していることを確認したと一覧に記されています。機能性表示食品には、これに当たる確認がありません。
届出は取り下げられることがありますか?
あります。届出11,207件のうち4,968件(44.3%)が撤回済みです。ただし撤回の理由は届出データベースに書かれていません。終売やリニューアルによる撤回も含まれるため、撤回されたこと自体が問題があった証拠にはなりません。
出典
- 消費者庁「機能性表示食品について」(2026年8月8日確認)。「国が審査を行いません」の記述。
- 消費者庁「『機能性表示食品』って何?」。パッケージに義務として表示される文の全文。
- 消費者庁「機能性表示食品 届出情報検索データベース」(2026年7月22日時点・11,207件)。
- 消費者庁「特定保健用食品許可(承認)品目一覧」(令和8年8月6日更新・1,023品目、うち令和6年度の販売実績あり203品目)。
- 消費者庁「機能性表示食品の今後について」(2024年9月)「見直し内容と施行期日等」。
本記事は情報提供であり、診断・治療・予防を目的とするものではありません。持病のある方・服薬中の方は医師または薬剤師にご相談ください。