カット野菜に栄養はないのか?
「まったく無い」とはいえません。カット野菜は工場で切ったあとに洗浄・殺菌され袋詰めされるため、水に溶けやすい成分は流れ出る可能性があります。ただしそれは家庭で野菜を洗ったり水にさらしたりするときにも同じように起こることで、カット野菜だけに固有の現象ではありません。
カット野菜は、工場で切ったあとに洗浄・殺菌され、袋詰めされます。この「水にふれる」工程があるため、水に溶けやすい成分は流れ出る可能性があります。ただしそれは、家庭で野菜を洗ったり水にさらしたりするときにも同じように起こることです。カット野菜だけに固有の現象ではありません。
なお、カット野菜の利用は増えています。食品スーパーにおける1000人当たりの販売金額は、平成22年と比べて令和2年で約1.8倍になったと報告されています。
出典:農畜産業振興機構「野菜情報」2023年10月号(服部玄・デリカフーズ株式会社 研究開発室長)。
水にふれると減るのはどの成分か?
水に溶けやすい成分は減りやすく、水に溶けにくい成分はほとんど影響を受けないと考えられます。文部科学省の食品成分表でキャベツの生とゆでを比べると、可食部100gあたりビタミンCは38→17mg、カリウムは190→92mg、葉酸は66→48µgに下がる一方、食物繊維は1.8→2.0gで減っていません。
洗浄そのものの数値は公開されているものが少ないため、ここでは文部科学省の食品成分表にある「生」と「ゆで」の値を並べます。ゆでるのは洗浄より水との接触がずっと強い条件ですが、どの成分が水に弱いかの傾向を見るには参考になります。
キャベツ 可食部100gあたり(生/ゆで)
| 成分 | 生 | ゆで | 残る割合 |
| ビタミンC | 38mg | 17mg | 45% |
| カリウム | 190mg | 92mg | 48% |
| 葉酸 | 66µg | 48µg | 73% |
| 食物繊維総量 | 1.8g | 2.0g | 減っていない |
出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(キャベツ 結球葉 生/ゆで)。残る割合は成分表の値から算出。
ビタミンCとカリウムは半分以下まで下がる一方、食物繊維は1.8gから2.0gへと下がっていません。つまり「野菜の栄養が水で失われる」といっても、成分によって受ける影響はかなり違います。カット野菜の洗浄はゆでるより穏やかな条件なので、減り方もこれより小さいと考えるのが自然です。
カットキャベツを実際に測るとどうなるか?
一年を通じて測った調査では、カットキャベツのビタミンC・Brix糖度・抗酸化力のいずれも原体キャベツの7割以上を保っていたと報告されています(農畜産業振興機構「野菜情報」2023年10月号)。原体28検体・カット53検体を通年で測定した結果で、大半が残っている計算になります。
農畜産業振興機構の「野菜情報」に掲載された調査では、原体キャベツ(合計28検体)とカットキャベツ(合計53検体)を一年を通じて測定しています。
カットキャベツの測定値(原体キャベツを100として)
- 原体キャベツ基準
- ビタミンC7割以上
- Brix糖度7割以上
- 抗酸化力7割以上
出典:農畜産業振興機構「野菜情報」2023年10月号。原体n=28・カットn=53、通年測定。「7割以上」は同誌の記述で、正確な値は月により異なります。
「7割以上」は幅のある表現で、月によっても変わります。それでも大半が残っているという点は押さえておいてよさそうです。
関連して、時間の影響を測った研究もあります。市販の惣菜8品を調べたところ、総ビタミンC量は調理直後の値の半分以下で、そのうち還元型のアスコルビン酸は約4分の1だったと報告されています。切ってから食べるまでの時間も、無視できない要素だと考えられます。
出典:大羽和子ほか「新鮮野菜および調理野菜の食する時点におけるビタミンC量」日本食品科学工学会誌 58巻10号 499–504(2011年)。カット野菜そのものではなく市販惣菜を対象とした調査です。
「洗浄で3割減る」は本当か?
その数字の根拠となる調査の出典は、公開情報では確認できませんでした。「カット野菜は洗浄で水溶性ビタミンの3割が失われる」という説明は多くの記事で見かけますが、どの野菜を・どんな条件で・何検体測った結果なのかを示した一次資料には行き当たりませんでした。
「カット野菜は洗浄で水溶性ビタミンの3割が失われる」という説明は、多くの記事で見かけます。ただし、どの野菜を・どんな条件で・何検体測った結果なのかを示した一次資料には行き当たりませんでした。
減り方は野菜の種類、切り方、水にふれる時間、季節によって変わると考えられます。ひとつの割合をすべてに当てはめるのは、そもそも難しいはずです。確認できない数字は、確認できないと書く——ここではその立場を取ります。
読むときの目安:「◯割減る」と書かれていたら、どの野菜を・どんな条件で測ったのかが併記されているかを見る。書かれていなければ、参考程度に受け取る。
次亜塩素酸ナトリウムは残っていないのか?
次亜塩素酸ナトリウムは食品衛生法にもとづく規格基準で殺菌料として指定されている食品添加物で、生食用野菜類に使うことが認められています。使用基準では最終食品の完成前に除去しなければならないと定められています。ただし実際の残留量は製造者や工程によって異なります。
次亜塩素酸ナトリウムは、食品衛生法にもとづく規格基準で殺菌料として指定されている食品添加物です。生食用野菜類に使うことが認められており、使用基準では最終食品の完成前に除去しなければならないと定められています。
ただし、実際の残留量は製造者や工程によって異なります。個別の製品について気になる場合は、パッケージの問い合わせ先に確認するのが確実です。この記事で「安全です」と断定することはできません——公開されている制度上の位置づけをお伝えするにとどめます。
出典:食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)における次亜塩素酸ナトリウムの使用基準。
自分で確かめるにはどうすればいいか?
袋の表示と文部科学省の食品成分データベースを使えば、目安は自分で出せます。栄養成分表示があればその値がいちばん近く、なければ成分表で同じ野菜の「生」の値を引いて、カット野菜はこれより下振れする前提で見ます。実際に食べた重さをかけ、1日の合計として過不足を見ます。
- 袋の表示を見る
内容量と、栄養成分表示があるかを確認します。表示がある場合は、その値がいちばん近い目安になります。
- 成分表で「生」の値を調べる
表示がない場合は、文部科学省の食品成分データベースで同じ野菜の「生」の値を引きます。カット野菜はこれより下振れする前提で見ます。
- 食べた重さをかける
成分表は可食部100gあたりの値です。実際に食べた重さに合わせて計算します。
- 1日の合計で見る
ほかの食事やサプリからの分も足し、1日の合計として過不足を見ます。
手順にすると当たり前に見えますが、実際にやってみると1回の食事で摂れる量は思ったより小さいことが多いはずです。カットかどうかを気にするより、そもそも足りているのかを数えたほうが、判断としては早いことがあります。
SuppNestでできること
成分ごとに全製品を横断で合計し、目安量・上限量との距離を表示する画面
SuppNest はサプリを対象にしたアプリで、食事の記録アプリではありません。ただ「不足しがちな成分が、いま合計でいくつになっているか」を出す考え方は同じです。食事から摂れているかどうかを見たうえで、足りない分だけをサプリで補う——その判断材料として使えます。数字を偽らず、確認できないものは「データ不足」と正直に表示します。
本記事は情報提供であり、診断・治療・予防を目的とするものではありません。特定の食品や調理法の効果を保証するものでもありません。持病のある方・服薬中の方・妊娠中の方は、医師または薬剤師にご相談ください。
よくある質問
カット野菜は栄養がないのですか?
「まったく無い」とはいえません。カットキャベツを一年を通じて測った調査では、ビタミンC・Brix糖度・抗酸化力のいずれも原体キャベツの7割以上を保っていたと報告されています(農畜産業振興機構「野菜情報」2023年10月号)。ただし水にふれる工程があるため、ビタミンCやカリウムなど水に溶けやすい成分は、丸のままの状態より減りやすいと考えられます。
カット野菜は洗浄でビタミンCが3割減るというのは本当ですか?
「洗浄で水溶性ビタミンの3割が失われる」という説明は広く見かけますが、その根拠となる調査の出典は公開情報では確認できませんでした。数値の幅は測り方や野菜の種類、時期によって変わると考えられるため、特定の割合を一律に当てはめるのは難しいのが実情です。
カット野菜に使われる次亜塩素酸ナトリウムは残っていますか?
次亜塩素酸ナトリウムは食品衛生法の規格基準で殺菌料として指定されており、生食用野菜類に使用できます。使用基準では最終食品の完成前に除去することが求められています。実際の残留量は製品や工程によって異なるため、個別の製品については製造者にご確認ください。
どの成分が水にふれても減りにくいですか?
文部科学省の食品成分表でキャベツの生とゆでを比べると、可食部100gあたりビタミンCは38mgから17mg、カリウムは190mgから92mgに下がる一方、食物繊維総量は1.8gから2.0gで下がっていません。水に溶けにくい成分は、水にふれる工程の影響を受けにくいと考えられます。
カット野菜と丸ごとの野菜、どちらを選ぶべきですか?
どちらが正解と一概には言えません。丸のままのほうが水にふれる工程は少ない一方、カット野菜は下ごしらえが要らないぶん食べる回数を増やしやすい面があります。1回あたりの含有量よりも、1日・1週間で実際に食べた合計量のほうが差になりやすいと考えられます。
カット野菜は体に悪いのですか?
「体に悪い」と断定できる公開情報は確認できませんでした。次亜塩素酸ナトリウムは食品衛生法の規格基準で殺菌料として指定されており、使用基準では最終食品の完成前に除去することが求められています。ただし実際の残留量は製造者や工程によって異なるため、個別の製品については製造者にご確認ください。
「カット野菜は栄養がない」というのは嘘ですか?
「まったく無い」という説明は、公開されている調査と合いません。カットキャベツを一年を通じて測った調査では、ビタミンC・Brix糖度・抗酸化力のいずれも原体キャベツの7割以上を保っていたと報告されています(農畜産業振興機構「野菜情報」2023年10月号)。一方で、水に溶けやすい成分が減りやすいのも事実です。
出典
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース(キャベツ 結球葉 生/ゆで)。
- 農畜産業振興機構「野菜情報」2023年10月号「カット野菜の栄養素~野菜の栄養をより手軽に摂取~」(服部玄・デリカフーズ株式会社 研究開発室長)。
- 大羽和子ほか「新鮮野菜および調理野菜の食する時点におけるビタミンC量」日本食品科学工学会誌 58巻10号 499–504(2011年)。
- 食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)における次亜塩素酸ナトリウムの使用基準。
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