日本人の食事摂取基準は、いまどの版?
2025年版が現行です。厚生労働省がおおむね5年ごとに改定していて、2025年版は2025年度から2029年度までの5年間に使われます。ひとつ前は2020年版でした。サプリの量を判断するときは、必ず版を確かめてください。同じ栄養素でも、版によって数字が違うことがあります。
基準は「これだけ摂れば健康になる」という目標ではなく、不足と過剰の両側から見た目安です。推奨量・目安量・耐容上限量など複数の指標があり、それぞれ意味が違います。上限だけを見て足し算しても、判断としては足りません。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」。使用期間は2025年度から2029年度までです。
同じ「鉄」でも、製品によって1日あたりの量はこれだけ散らばります。細い縦線が1製品です。幅が広いため対数で並べています。
出典:SuppNestが収録している製品データ(2026年8月14日時点)。1回に飲む量が公開されている製品のうち、鉄の量を読み取れた285件を数えた値です。
サプリに関係する数字で、何が変わった?
6か所が変わりました。もっとも大きいのは鉄で、耐容上限量が「設定しない」になりました。ビタミンDの目安量は8.5µgから9.0µgへ、亜鉛の女性の上限は30〜35mgから35mgへ変わっています。ビタミンE・マグネシウム・n-3系脂肪酸も値が動きました。
| 栄養素・指標 | 2020年版 | 2025年版 |
| 鉄 耐容上限量 | 男 50/女 40 mg/日 | 設定しない |
| ビタミンD 目安量 | 8.5 µg/日 | 9.0 µg/日 |
| 亜鉛 耐容上限量 | 男 40〜45/女 30〜35 mg/日 | 男 40〜45/女 35 mg/日 |
| ビタミンE 耐容上限量 | 男 850/女 650〜700 mg/日 | 男 800/女 650〜700 mg/日 |
| マグネシウム 推奨量(男性) | 340〜370 mg/日 | 330〜380 mg/日 |
| n-3系脂肪酸 目安量 | 1.6〜2.2 g/日 | 1.7〜2.3 g/日 |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」および「同(2020年版)」。年齢区分によって幅があるため、成人の範囲で示しています。
なぜ鉄の上限は「設定しない」になった?
上限を決める根拠が定まらなかったためです。2020年版はバンツー鉄沈着症を根拠に上限を設定していましたが、この疾患には遺伝子異常が関わることが示唆されています。遺伝的素因のない人で、鉄の摂取量と鉄沈着症の量的な関係は明らかになっていません。そのため上限を設定しないことになりました。
米国・カナダは2001年に、鉄剤による便秘や胃腸症状を根拠として上限を設定しました。ただし欧州食品安全機関のガイドライン(2015年)は、胃腸症状を上限の根拠とすることは不適切としています。これらを合わせて判断された結果です。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」鉄の項(p.116)。要約はいずれも報告書の記述に基づきます。
上限が無い栄養素は、いくら飲んでもいい?
違います。上限が設定されていないのは、害が出ない量が分かっているからではなく、上限を決める根拠が定まらなかったためです。報告書は鉄について、推奨量を大きく超える摂取は貧血の治療などを目的とする場合を除いて控えるべきだと書いています。上限が消えたことは、目安が消えたことではありません。
報告書の記述をそのまま引きます。
報告書は「控えるべき」と書いている
必要量を超えて鉄を摂取しても貧血の予防にはつながらないと考えられる。推奨量を大きく超える鉄の摂取は、貧血の治療等を目的とした場合を除き、控えるべきである。
天井の代わりに、推奨量を基準にする
成人の推奨量は、男性6.5〜7.5mg、女性は月経がない場合5.5〜6.0mg、月経がある場合10.0〜10.5mgです。数字の天井ではなく、この推奨量を基準に見ることになります。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」鉄の項(p.116、p.117)。なお米国NIHは上限45mg/日を示していますが、これは日本の基準ではありません。
読んでいるページが旧版かどうか、どう見分ける?
鉄の耐容上限量を「男性50mg・女性40mg」と書いていれば、それは2020年版です。ビタミンDの目安量が8.5µgと書かれている場合も旧版です。2025年版では鉄の上限は設定されておらず、ビタミンDの目安量は9.0µgになりました。版が書かれていないページは、この2つで確かめられます。
| そのページにこう書いてあれば | その情報は |
| 鉄の上限は男性50mg・女性40mg | 2020年版のまま |
| ビタミンDの目安量は8.5µg | 2020年版のまま |
| 鉄の上限は設定されていない | 2025年版に沿っている |
| ビタミンDの目安量は9.0µg | 2025年版に沿っている |
版が書かれていない数字は、そのままでは使えません。基準は5年ごとに変わるため、出どころと版が分からない数字は、次の改定でいつ古くなったのか誰にも分からなくなります。数字を引くときは、必ず版と一緒に控えてください。
亜鉛の上限は変わった?
女性の値が変わりました。2020年版は女性30〜35mgでしたが、2025年版では35mgです。男性は40〜45mgで変わっていません。低いほうの35mgを基準に見ると、複数の製品を重ねたときに合計が上限へ近づくかどうかの判断が変わります。亜鉛はマルチビタミンにも入っていることが多い成分です。
実際に大手の定番3つを重ねると、亜鉛の合計は33.8mgで上限35mgの97%に届きます。1つずつは上限内なのに、重ねると上限に届く組み合わせで数えています。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」亜鉛の項(p.120)/SuppNestが収録している製品データ。
数字が変わると、飲むものの判断はどう変わる?
上限との距離が変わります。鉄は上限との比較そのものができなくなり、推奨量を基準に見ることになりました。亜鉛は女性の上限が35mgに定まったため、重ねたときの余裕がはっきりします。改定のたびに、飲んでいるものの評価は手で計算し直すことになります。
- 版を確かめる。
参照している数字が2025年版かどうかを先に見ます。版が書かれていない情報は使いません。
- 上限ではなく推奨量から見る。
鉄のように上限が無い栄養素は、推奨量との距離で見ます。
- 合計で見る。
製品ごとの量ではなく、飲んでいるもの全部の合計と比べます。
SuppNestが使う基準値は成分のページにまとめてあり、すべて2025年版から引いています。公開前の検査で、旧版の値が混ざっていないかを毎回照合しています。基準が改定されたときに全ページを直せる形にしてあります。
日本人の食事摂取基準は、いまどの版が使われていますか?
2025年版が現行です。厚生労働省がおおむね5年ごとに改定しており、2025年版は2025年度から2029年度までの5年間に使われます。ひとつ前は2020年版です。サプリの量を判断するときは、必ず版を確かめてください。同じ栄養素でも版によって数字が違うことがあります。
鉄の耐容上限量はいくつですか?
2025年版では設定されていません。2020年版にあった男性50mg・女性40mgという値は、2025年版では「設定しない」に変わりました。根拠としていた鉄沈着症に遺伝子異常が関わることが示唆され、胃腸症状を根拠にすることも不適切とされたためです。上限が無いことは、いくら飲んでもよいという意味ではありません。
上限が設定されていない栄養素は、いくら飲んでもいいのですか?
違います。鉄について報告書は「推奨量を大きく超える鉄の摂取は、貧血の治療等を目的とした場合を除き、控えるべきである」と書いています。上限が設定されていないのは、害が出ない量が分かっているからではなく、上限を決める根拠が定まらなかったためです。
読んでいるページが旧版かどうか、どう見分けますか?
鉄の耐容上限量を「男性50mg・女性40mg」と書いていれば旧版です。ビタミンDの目安量が8.5µgと書かれている場合も2020年版です。2025年版では鉄の上限は設定されず、ビタミンDの目安量は9.0µgです。版が書かれていないページは、この2つで確かめられます。
亜鉛の上限は変わりましたか?
女性の値が変わりました。2020年版では女性30〜35mgという幅でしたが、2025年版では35mgに定まっています。男性は40〜45mgのままです。幅があるうちは、どちらを基準に足し算するかで結論が変わっていました。値が1つに定まったことで、重ねたときの判断が揺れなくなります。
出典
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」。鉄 p.116・p.117、亜鉛 p.120、ビタミンD p.74、ビタミンE p.76、マグネシウム p.112、n-3系脂肪酸 p.59。
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」。変更前の値の確認に使用。
- SuppNestが収録している製品データ(2026年8月8日時点)。
本記事は情報提供であり、診断・治療・予防を目的とするものではありません。持病のある方・服薬中の方は医師または薬剤師にご相談ください。